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テロリスト・黒い九月 ミュンヘン

 「テロリスト・黒い九月 ミュンヘン」(原題:21 Hours At Munich)とは、実在したパレスチナのテロリストグループ「黒い九月」が、1972年に実際に引き起こしたミュンヘンオリンピックにおけるイスラエル・チーム惨殺テロ事件を映像化した映画のことである。

[ストーリー(あらすじ)]
 1960年代後半、ヨルダンに拠点を置くパレスチナ解放機構(PLO)の過激な実力的行動に手を焼いていたヨルダン国王フセイン1世は、パレスチナ解放機構(PLO)の下部組織であるパレスチナ解放人民戦線(PFLP)が、1970年9月に引き起こした5機の旅客機同時ハイジャック事件を契機に、PLOとPFLPに対して、武力的追放を決定し、ここにヨルダン内戦が勃発する。

 「黒い九月」事件とも呼ばれるこの内戦で、PLOは、多くのメンバーを殺され、国王派に追われる形でレバノンのベイルートに拠点を移すことになった。PLO内に拡がる衝撃度は大きく、フセイン国王の行為を国民への裏切り行為として強く反発した。そして、レバノンで活動を始めたPLOの最大派閥ファタハは、対イスラエル闘争の行き詰まりから、過激な活動を行うための秘密テロ組織を結成した。これが「黒い九月」(ブラックセプテンバー)と呼ばれるテロリスト集団である。

 1972年9月5日 、ドイツのミュンヘンオリンピック会場に武装した「黒い九月」メンバーが侵入、選手村にいたイスラエル選手とコーチ、計11名を殺害した。「黒い九月」の存在は、このミュンヘンオリンピック事件で一気に国際的に知れ渡り、イスラエル選手とコーチが殺害された事件はイスラエルに大きな衝撃を与えた。(ちなみに、その後、イスラエル諜報特務局は、この事件への報復として、「黒い九月」関係者の多くを暗殺している。)

 この映画は、実際にあったテロリストとミュンヘン警察当局の緊迫の21時間を描いたリアルサスペンス映画である。1970年代は、まさにテロルの季節であった。日本でも、連合赤軍によるあさま山荘事件やよど号ハイジャック事件などが起こり、世界中の左翼過激派による爆弾テロやハイジャックなどが各地で頻発し、一般市民を恐怖の感情の底に叩き落としていた。そんな時代の空気をまとったテロリストたちの淡々とした行動が恐い、おすすめの一本である。

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