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ミュンヘン(映画)

 「ミュンヘン」(原題:Munich)とは、実在したパレスチナゲリラ「黒い九月」(ブラック・セプテンバー)が、1972年9月に引き起こしたミュンヘンオリンピック・イスラエル選手団殺害事件への報復措置として、イスラエル政府は、暗殺チームを編成し、テロリスト11人を一人ずつ消して行くことを決定した。この実際のテロリスト連続暗殺事件を著したジョージ・ジョナスによるノンフィクション小説『標的(ターゲット)は11人―モサド暗殺チームの記録』を原作とし、スティーヴン・スピルバーグが映像化した実話映画のことである。

黒い九月事件の詳しい経緯については、こちらの記事を参照して下さい。

[ストーリー(あらすじ)]
 ミュンヘンオリンピックにおける黒い九月事件を受けて、激怒したイスラエル政府は、報復措置を行うことを決定した。報復措置の内容は、テロリストたちの暗殺である。イスラエル秘密情報機関「モサド」は、秘密裏にテロリスト暗殺チームを編成する。実在した暗殺チームのリーダー・アヴナーは、運転がプロ並みのスティーブ、爆弾に通じるロバート、後の遺体処理・偽装係であるカール、文書偽造のハンスとともに作戦を実行する。
 第一の作戦の標的は、ローマの翻訳家ワエル・ズワイテルであった。待ち伏せし、サイレンサー付きの拳銃で、音もなく射殺する。
 第二の作戦の標的は、PLOパリ代表部幹部のハムシャリで、ロバートの提案で爆薬が使われることになり、電話に仕掛けることにした。しかし、ハムシャリの娘が誤爆で殺される危険を辛うじて回避し、娘でなくハムシャリの耳元で爆弾を炸裂させることに成功する。
 第三の作戦の標的は、レバノン・ベイルートのPLO本体であった。PLOの内部抗争を偽装し、PLOコマンドーに成りすまし、潜入したアパートでの襲撃暗殺計画であった。PLOのスポークスマンであったカマル・ナセルを含む標的3人は殺害できた。
 第四の作戦の標的は、ギリシア・キプロスのホテルにいたPLO幹部であった。標的は、ベランダからアヴナーと紳士的なあいさつを交わすほどであったが、ベッド下に仕掛けた爆薬の量を多く取り過ぎ、標的殺害ばかりか関係のないキプロス市民にまで大怪我を負わすこととなる。
 第五の作戦は、ギリシア・アテネでも実行された。作戦前に紹介された宿の一室で、アヴナーチームは別の一行と出くわし、その一行は、ANCとPLOのメンバーであることを明かすが、アヴナーチームは機転をきかし、自身らをIRAメンバーと騙り、正体を知られることなく、情報を引き出すことに成功する。しかし、相手のメンバーの男から、イスラエル勢力に母国を奪われてきたパレスチナ人としての悲惨な境遇もまた直に聞くこととなる。アテネでの作戦は成功するが、どれだけパレスチナ人が虐げられているかを直に知ったアヴナーは、しだいに思い悩むようになる。淡々とテロリスト暗殺を実行していくアヴナーと仲間たちであったが、次の標的を狙い、ロンドンに到達すると、事態は思わぬ方向へ行くことになる。

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 ※ちなみに、現在、アヴナーは本名を変えてアメリカで暮らしていると言われている。