[ストーリー(あらすじ)]
第二次世界大戦中、ドイツ降伏直前、ナチス政権下でユダヤ人の絶滅政策を遂行してきたナチ親衛隊(SS隊員)の幹部たちは、連合国軍の追及を逃れるため、コードネーム「オデッサ」と呼ばれる秘密組織を立ち上げていた。その目的は、戦犯とされる元SS隊員たちの国外脱出や、新生ドイツ社会への不可知的浸透を支援し、名誉回復のためのプロパガンダ活動を行うという庇護組織であった。
西ドイツ人のフリーライター、ペーター・ミラーは、一人のユダヤ老人の自殺に遭遇し、その残された日記から、この老人がナチ強制収容所から解放された一人であること、そして、戦犯である当時の収容所所長エドゥアルト・ロシュマンは、なんと司法の追及を逃れ、現在でも、新生ドイツ国内で堂々と偽名で生活している事実を知り、隠された闇の事実に興味を持つようになる。
ロシュマンの所在をなんとかつかもうとするペーターは、組織のことを嗅ぎ回る内に、逆に「オデッサ」に妨害されて、調査が頓挫することになる。そんな危険な中で、調査中に知り合ったユダヤ人過激派グループの力を借り、特殊ゲリラ訓練を受け、元SS隊員になりすまし、闇の組織「オデッサ」へと潜入していく。ペーターは、「オデッサ」が放つ殺し屋に何度も殺されかけるが、モサド(MOSADO=実在するイスラエル秘密諜報機関)の人間に助けられる。はたして、ペーターは、ロシュマンの居場所をつかみ、司法の手に渡すことができるのか?また、闇の組織「オデッサ」の対イスラエルへ向けた恐ろしい計画とは?・・・。
この映画は、ナチスのホロコーストという重い戦争犯罪の史実と、次のような理由で、ただのサスペンス・アクション映画に収まらない重厚さを醸し出している。それは、作品中にも顔を出す、生涯で約1100人のナチス戦犯の逮捕に貢献したと言われている実在のサイモン・ヴィーゼンタールのナチス戦犯追及活動であったり、「リガの屠殺人」と呼ばれたエドゥアルト・ロシュマンは、実在のナチス戦犯であり、当時のナチス戦犯の多くがそうしていたように、南米大陸アルゼンチンに海外逃亡をしていた事実がありのままに描かれていることである。
また、この作品の執筆・出版・映画化に関しては、作者のフォーサイスの元へ多くの脅迫状が届いたと言う有名な実話がある。
オデッサ・ファイル [DVD]
