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ボストンの絞殺魔

絞殺魔(原題:The Boston Strangler)とは、1960年代、アメリカニューヨーク州ボストンで実際に起こった連続殺人事件(ボストン絞殺魔事件)を映画化した実録モノの映画のことである。

[ストーリー(あらすじ)]
1962年、アメリカのマサチューセッツ州ボストン市で、最初、一人暮らしの高齢女性ばかりを狙った連続殺人事件が発生した。この連続殺人事件は、合計13人もの被害者を出してしまう。しかも、7人目からの被害者は、20代前半のいずれも若い女性ばかりであった。この事件は特殊で奇妙なものだった。押し入った形跡は一切なく、被害者女性たちが、なぜか犯人を自分の意思で自室に招き入れているらしいこと。そして、首を締めた紐やロープを「外科結び」と呼ばれる特殊な結び方で被害者の首に巻き付けていたこと。そして、被害者を強姦するのではなく、ワインボトルを性器に入れたりするなどの猟奇的な性的陵辱を行っていたこと。

この連続殺人事件の発生により、ボストン市民は恐怖におののき、得体の知れない犯人のことを「ボストンの絞殺魔」と呼んだ。この事件の捜査は難航する。ボストン市警と州検事局は、手当たり次第に前科のある異常性欲者や不審人物を捕らえて来て、尋問するが、いずれも事件とは無関係のシロの人物ばかりであった。捜査に行き詰まった警察当局は、1960年代に活躍した犯罪捜査を専門とするサイキック(超能力者)・ピーター・フルコスまで動員するが、結局、真犯人を逮捕することはできなかった。捜査は、完全に暗礁に乗り上げてしまう。

事件は、すわコールドケース(迷宮事件)入りかと思われた頃、リー・ベイリーという一人の弁護士から1本の電話があった。自分が担当している服役中の囚人が、世間を騒がしているボストン絞殺魔が、刑務所内の自分と同房に居て、自分の犯した犯罪をぺらぺらしゃべっているというのである。早速、この弁護士が該当人物に面会したところ、あっさり罪を白状したとのである。犯人の名前は、アルバート・デサルヴォ。この件が明るみに出て、1964年11月に逮捕される。しかも、このデサルヴォは、別の連続強姦事件の犯人として、すでに逮捕されていたのである。

しかし、逮捕されて以後のデサルヴォは、自分には全く身に覚えがないと自白をひっくり返して潔白を主張する。物証ゼロの難事件を解決に導くためには、もはや犯人の自供のみであり、この役目を引き受けたのが、ボトムリーという一人の州検事局検事であった。ボトムリーはデサルヴォを取り調べ、巧みに供述を引き出してゆくのだが・・・。

この映画は、ニューヨーク・ボストンで実際に起こった連続女性絞殺事件を、その事件の発端から犯人逮捕までドキュメンタリータッチで描いた秀逸なサスペンス映画である。名匠リチャード・フライシャー監督の代表作であり、犯人とそれを追い詰める側の心理描写を非常にうまく描いている。

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